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Posted by - 2025.04.21,Mon
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Posted by 帽子屋 - 2011.06.22,Wed
はなぷち発行予定の「魔○少○ようすけ☆マ○カ」前編の冒頭部分と、
前編における起承転結の「承」あたり…でしょうか。

大体こんな感じの世界観だと思っていただければ…
P4を軸にパロ設定を混ぜてる感じです。




極彩色の空。轟く雷鳴。目映い閃光が辺りを照らせば、天地を這いまわる黒い影。
(ここは…)
 あまりにも奇怪な空間が、この世界を非現実的なものだと伝えている。
(…あれは、何だ?)
ふと視線を巡らせれば、サイケデリックな空で一際目を惹く亜麻色が飛び込んできた。
(ひと?)
 両手に鈍色の得物を構え、風に乗って空を飛んでいるようなその身のこなしは、まるで、物語の中に出てくる忍者のようで。お世辞にも逞しいとは言えないその腕から、次々と繰り出される電光石火の斬撃に、思わず息をするのも忘れて見入ってしまう。
 歳は、自分と同じくらいだろうか。何故、あんなにも必死なのか。一体何と戦っているのだろうか。
(あ…)
 思考が逸れたその瞬間、一瞬の隙を突かれたのか、その細い身体が宙に舞う。
 万有引力の法則に従って落下していく肢体。このままでは、地面に叩きつけられてしまう。あの高さからでは相当な重力加速度が得られ、かなりの衝撃を与えるだろう。
(…!)
 気づけば、思わず駆け出していた。どこの誰とも分からない、彼を助けたいその一心で。
 ありえない。
それが我に返った瞬間の反応だった。だが身体は己の意に反して動き、目の前の男を救おうとしている。
 死なせない。消させない。理屈ではない、ただそれだけの想いに突き動かされていた。
 
 ふと、墜落していく人影と目が合う。
 その瞳は憤慨に彩られ、己を攻めていて。けれど、どこか諦めているようだった。
 こちらに気付いたのだろう。再びその瞳が見開かれる。だが次の瞬間、その胡桃色には、拒絶の色が露わにされていた。
 
「      」
(…え?)
 耳を劈く迅雷。最期の叫びが掻き消される。
 
伸ばした手は、届かなかった。
 






――中略――





 
 
――ギィ…
階段を上り切ったところで待ちかまえていたのは、先程まで水谷の思考を占めていた人物ではなく、上級生らしい女子生徒の姿だった。
「見ない顔だね。転校生?」
 開け放たれた扉の向こうから流れてくる風に、ふわふわとしたソバージュの髪を靡かせて、彼女は水谷に問いかける。
「…よく、ご存じですね」
 転校生であることは事実だが、初日の段階で他学年の生徒にまで知られているとは、普通は考えない。水谷は思わず怪訝な声で答えてしまう。
「そんなに警戒しないで。私は三年の小西早紀。あなたは?」
 こちらの反応が筒抜けだったのだろう。目の前の彼女は苦笑すると、律義に自己紹介をしてきた。
「二年の水谷朔也です」
名乗られたからには返すのが礼儀だ。そう思い、水谷も己の名前を名乗る。だがこちらが言い終えると、彼女はふと、先程までの笑みを消して続けた。
「ここ、田舎だから。大体の生徒とはイヤでも顔馴染みになっちゃうの。だから、外から来た子は、どうしても目につくのよ」
「そうなんですか」
都会の高校と比べると、この学校の生徒数はそれほど多くはない。
(だからか…)
 早紀の話を聞いて、先程千枝と雪子から聞いた、花村の事が頭を過ぎる。正直、ただ話を聞いただけでは、大げさな様にも感じられた。だが都会からの転校生と言うだけで、こんなにも簡単に、余所者としてのレッテルが貼られてしまう。加えて彼には、ジュネスと言う格好のネタまで付いているのだ。槍玉にはもってこいだったのだろう。
「……」
 ほんの少しだけ、彼の置かれている状況に触れた気がして、水谷はまた、花村という男の事が分からなくなった。
「あ、引き留めちゃってごめんね。誰かと待ち合わせ?」
 黙ってしまった水谷を心配してか、早紀が話題を変える。その言葉で、水谷はここに来た本来の目的を漸く思い出した。
「待ち合わせと言うよりも、ここの掃除だと言われて来たんですが…」
 言われた場所に来たは良いが、肝心の呼び出した人物が見あたらない。
「もしかして、花ちゃんと一緒のクラス?」
「花ちゃん?」
「花村陽介。あなたと同じ転校生の」
 あまりにも可愛らしい呼び名に、一瞬反応が遅れてしまう。
「ああ、そうです」
「それなら屋上に居たよ。ほら、呼んであげるからおいで」
「え」
 早紀の勢いに押され、断る間もなく、水谷は屋上へと足を踏み入れた。
 扉を抜けると、どこか遠くを見つめたまま、微動だにしない花村の姿が目に入る。
何を見ているのだろう。それとも、何も見ていないのか。
「花ちゃん」
 声が届き、振り返る。
「…!」
その時の花村の表情を、水谷は一生忘れることは出来ないだろう。
悲しみ、苦しみ。諦め、後悔、懺悔。一言では形容出来ない、とても複雑なものだった。
「サボり?」
 傍に駆け寄った早紀が、親しげに声をかける。
「ちょっと、休憩してただけです」
 それに答える彼は、こちらを見ようともしない。
「そっか。彼が探してたから声かけたんだけど…余計なお世話、だったかな」
「そんな事ないですよ」
 質問には答える。だが、それ以上の反応を返そうとしない花村。その姿はまるで、この場所から一刻も早く逃げ出したい。そう思っているように見えた。
「そう?まあ転校生同士仲良くなりなよ。花ちゃん、友達少ないんだし」
 そう言う彼女の顔はどこか優しくて。その言葉が、花村を傷つけようとしているモノでは無い、というのが伝わってくる。
「君も、ウザかったらウザイって言いなね」
「…そうします」
「はは、酷いなぁ」
(…)
 その、ふと垣間見えた苦笑いに、水谷は違和感を覚えてしまう。花村のそれは、言われたくない事を言われた時の表情ではない。早紀の言葉も、冗談交じりのモノだと理解しているだろう。
そう。それはもっと底の見えない、まるで、トラウマにでも障られてしまった時のモノのようだった。
「じゃぁ、そろそろ行くね。花ちゃん、転校生くん、またね」
「はい」
「……」
 彼女のその言葉に、花村は声を返さなかった。

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